『光りに向かって』

天を覆う雲は厚くとも、
太陽は常に大空に在(あ)る。
風が来て雲を払えば、
黄金の光が燦々(さんさん)と輝く。
人の心に吹きすさぶ八風を、
苦悩の雲を吹き払う風として、
真実を観(み)る智慧の光りを迎えよう。

智慧の光りが輝くとき、
宇宙生命(尊天(そんてん))に生かされている万象を観る。
あなたも私も、花も鳥も、
みな共に生かされているこの世界。

万象が織りなすいのちの相(すがた)、
宇宙に懸(かか)る金色(こんじき)のいのちの羅網(らもう)、
遠い昔から受け継いで来たいのちの絆(きずな)、
私もその中の一つのいのち、
たがいに手をつなぎ響き合ういのち、
あなたも私も、樹も水も、
みな共に厳然と生かされている。

慈愛の温(ぬく)もりに抱かれ、
智慧の光りに照らされ、
豊かな活力に満たされて、
今ここに生かされていることの嬉しさと有難さ、
この歓びと感謝の輪を拡げよう。
あなたも私も、あの人もこの人も、
たがいに光り合い照らし合う、
明るい未来を信じ希(ねが)いながら、
一日々々を宝石のように大切に生きよう。
すべては尊天にてまします

京都総本山 鞍馬寺